Web Syllabus(講義概要)
トップへ戻る 前のページへ戻る
免疫学Ⅰ
英文名Immunology Ⅰ
科目概要生物科学科 3年 3群科目 必修 2単位 前期 15 コマ 講義 週1コマ
科目責任者江島 耕二
担当者江島 耕二
備考科目ナンバリング:SB301-BI31

教員免許取得のための必修科目

科目教科に関する専門的事項(中・高 理科)
施行規則に定める科目区分
  • 生物学

授業の目的

我々が生存する環境には膨大な種類の微生物が存在するが,その多くは他者の体内・細胞内に侵入(感染)して生存し,「宿主」に対してしばしば毒性を示す。我々ヒトをはじめとする動物はその進化の過程で,常に身近にいる微生物を効率的に感知して排除し,さらに未だ経験したことがない「予測不能の外来の敵」にさえ対応できるシステムを作り上げてきた。本講義では3 年次後期に行う「免疫学Ⅱ」と合わせて,免疫系がどのような細胞群により構成され,またそれぞれの細胞がどのような役割を果たすことによりシステムが機能しているのか,またリンパ球反応性の基盤となる「多様性」と「自己・非自己の識別」という特徴がいかに巧妙に形成されているかを理解する。

DPとの関連

SG2SB2

教育内容

第2学年次までに学習した細胞生物学や分子生物学などの基礎知識に基づいて,生体内で免疫応答がどのように展開されるかを講義する。免疫学Ⅰでは主に免疫組織の構造と免疫担当細胞の種類,免疫細胞が病原体を感知する方法,それを排除するためのさまざまな戦略,担当細胞間の役割分担・連携やその意義について講義する。

教育方法

講義はパワーポイントを用いて行う。必要に応じて内容の要点をまとめたプリントを配布する。講義2,3回ごとに講義内容について確認演習による復習を行う。

授業内容

項目内容担当者
1免疫システムの概要免疫系全体の枠組みの概観,リンパ組織の種類と構造について江島 耕二
2自然免疫系 ①自然免疫系を担う細胞の種類とそれぞれの役割江島 耕二
3自然免疫系 ②自然免疫系の細胞による病原体感知システム,補体の活性化経路江島 耕二
4リンパ球の抗原認識抗原受容体の構造,リンパ球の反応性の特徴(「クローン」について),細胞性免疫と液性免疫について江島 耕二
5抗体の特徴と機能抗体の構造,抗体のサブクラスとその機能について江島 耕二
6B 細胞の活性化と抗体産生T 細胞依存的・非依存的な抗体産生,胚中心形成と胚中心反応(クラススイッチ,親和性成熟(体細胞高頻度変異))江島 耕二
7T 細胞の抗原認識とMHC抗原提示分子MHC(2つのクラスとそれぞれの構造と機能)とMHC 拘束性について江島 耕二
8抗原提示細胞によるT 細胞への抗原提示MHC 分子による抗原提示経路とそれに関わる分子群について江島 耕二
9サイトカイン分泌型の情報伝達物質・サイトカインの種類,特徴,機能について江島 耕二
10CD4 陽性T 細胞のサブセットと機能CD4 陽性T 細胞のヘルパーT 細胞への分化,ヘルパーT細胞のサブセットと機能について江島 耕二
11CD8 陽性T 細胞やNK細胞による細胞傷害細胞傷害性細胞 (CTLとNK細胞) の機能と特徴,2つの細胞傷害機構,メモリーT 細胞への分化について江島 耕二
12抗原受容体の合成抗原受容体遺伝子の構造,抗原受容体遺伝子再構成と多様性創出江島 耕二
13リンパ球の分化リンパ球分化のプロセス,T 細胞の胸腺内分化(正の選択と負の選択)について江島 耕二
14抗原受容体からのシグナル伝達抗原受容体からのシグナル伝達に関わる分子群とシグナルカスケード江島 耕二
15まとめ全体の確認と復習を行う。江島 耕二
No. 1
項目
免疫システムの概要
内容
免疫系全体の枠組みの概観,リンパ組織の種類と構造について
担当者
江島 耕二
No. 2
項目
自然免疫系 ①
内容
自然免疫系を担う細胞の種類とそれぞれの役割
担当者
江島 耕二
No. 3
項目
自然免疫系 ②
内容
自然免疫系の細胞による病原体感知システム,補体の活性化経路
担当者
江島 耕二
No. 4
項目
リンパ球の抗原認識
内容
抗原受容体の構造,リンパ球の反応性の特徴(「クローン」について),細胞性免疫と液性免疫について
担当者
江島 耕二
No. 5
項目
抗体の特徴と機能
内容
抗体の構造,抗体のサブクラスとその機能について
担当者
江島 耕二
No. 6
項目
B 細胞の活性化と抗体産生
内容
T 細胞依存的・非依存的な抗体産生,胚中心形成と胚中心反応(クラススイッチ,親和性成熟(体細胞高頻度変異))
担当者
江島 耕二
No. 7
項目
T 細胞の抗原認識とMHC
内容
抗原提示分子MHC(2つのクラスとそれぞれの構造と機能)とMHC 拘束性について
担当者
江島 耕二
No. 8
項目
抗原提示細胞によるT 細胞への抗原提示
内容
MHC 分子による抗原提示経路とそれに関わる分子群について
担当者
江島 耕二
No. 9
項目
サイトカイン
内容
分泌型の情報伝達物質・サイトカインの種類,特徴,機能について
担当者
江島 耕二
No. 10
項目
CD4 陽性T 細胞のサブセットと機能
内容
CD4 陽性T 細胞のヘルパーT 細胞への分化,ヘルパーT細胞のサブセットと機能について
担当者
江島 耕二
No. 11
項目
CD8 陽性T 細胞やNK細胞による細胞傷害
内容
細胞傷害性細胞 (CTLとNK細胞) の機能と特徴,2つの細胞傷害機構,メモリーT 細胞への分化について
担当者
江島 耕二
No. 12
項目
抗原受容体の合成
内容
抗原受容体遺伝子の構造,抗原受容体遺伝子再構成と多様性創出
担当者
江島 耕二
No. 13
項目
リンパ球の分化
内容
リンパ球分化のプロセス,T 細胞の胸腺内分化(正の選択と負の選択)について
担当者
江島 耕二
No. 14
項目
抗原受容体からのシグナル伝達
内容
抗原受容体からのシグナル伝達に関わる分子群とシグナルカスケード
担当者
江島 耕二
No. 15
項目
まとめ
内容
全体の確認と復習を行う。
担当者
江島 耕二

到達目標

・自然免疫と獲得免疫の違いやそれぞれの特徴について説明できる
・免疫担当細胞の種類,特徴と機能を列挙できる
・各免疫担当細胞がどのような分子を用いて病原体(異物,抗原)を感知するかを説明できる
・様々な免疫担当細胞がどのように協調して病原体を排除するかを具体的に述べることができる

評価基準

成績評価は定期試験の結果に基づいて行う。(100%)

準備学習(予習・復習)

【授業時間外に必要な学習時間:合計60 時間】
予習:あらかじめ参考図書の授業範囲に対応する部分を読んで概要を理解する。内容が不明確に感じられる部分を明確にしておく。(合計30 時間)
復習:講義で配布されたスライドのプリントの内容(用語等含む)について,確実に理解できているかどうか確認する。
理解が不十分な箇所は参考図書で復習する。(合計30 時間)

実務経験のある教員情報

なし

関連科目

生体防御学,微生物学,免疫学Ⅱ

その他

確認演習は実施後に演習用紙を回収して,授業の中で解説する。教科書としての指定はしないが,講義の中で参考図書をいくつか紹介するので,自分に合ったものを選んで講義の理解の補助として使用してほしい。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書(なし)
参考書分子細胞免疫学(原著第10 版)A.K. Abbas,A.H. Lichtman,
S. Pillai(著)
中尾篤人(監訳)
エルゼビア・ジャパン
参考書免疫生物学(原著第9 版)K. Murphy, C. Weaver(著)
笹月健彦,吉開泰信(監訳)
南江堂
参考書標準免疫学(第4 版)宮坂昌之(監修)医学書院
教科書
署名
著者・編者
発行所
参考書
署名
分子細胞免疫学(原著第10 版)
著者・編者
A.K. Abbas,A.H. Lichtman,
S. Pillai(著)
中尾篤人(監訳)
発行所
エルゼビア・ジャパン
参考書
署名
免疫生物学(原著第9 版)
著者・編者
K. Murphy, C. Weaver(著)
笹月健彦,吉開泰信(監訳)
発行所
南江堂
参考書
署名
標準免疫学(第4 版)
著者・編者
宮坂昌之(監修)
発行所
医学書院