Web Syllabus(講義概要)
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免疫学Ⅱ
英文名Immunology Ⅱ
科目概要生物科学科 3年 3群科目 必修 2単位 後期 15 コマ 講義 週1コマ
科目責任者江島 耕二
担当者江島 耕二玉内 秀一岩渕 和也
備考科目ナンバリング:SB301-BI32

授業の目的

「免疫学Ⅰ」では我々の身体に備わる免疫系の仕組みについて,特に免疫担当細胞や用いられる分子の種類や機能,免疫反応の特徴などの概観が中心となっている。「免疫学Ⅱ」では実際に免疫系が作動する場面(感染,臓器移植,アレルギー反応など),また免疫系を人為的に操作・利用した治療法など(ワクチン,抗腫瘍免疫療法,免疫抑制剤)について,その特徴や問題点と共に理解する。

DPとの関連

SG2SB2

教育内容

免疫システムが引き起こす様々な事象(感染症や自己免疫疾患,アレルギーなど)において,それぞれどのような免疫細胞が何をきっかけにどのような反応を示すのか,各論的に講義する。また免疫担当細胞の中には,直接免疫反応を示す実効細胞以外に,免疫反応の起点となったり,反応の方向性・性質を規定する役割も果たす細胞の存在も知られており,本講義ではそのような特徴を持つ細胞として樹状細胞や自然リンパ球についても講義する。

教育方法

パワーポイントを用いて講義を行う。不足する部分については別にプリントを配布する。講義2,3回ごとに講義内容について確認演習を行う。

授業内容

項目内容担当者
1免疫学Ⅱの概要―免疫疾患のメカニズム免疫学Ⅰ範囲の補足,免疫系異常の例江島 耕二
2細胞間の相互作用(接着分子,共刺激分子)接着を伴う細胞間の情報伝達,T 細胞活性化における共刺激分子・免疫チェックポイント分子江島 耕二
3リンパ球の抗原認識とシグナル伝達抗原受容体による抗原認識とシグナル伝達について江島 耕二
4自然リンパ球(Innate Lymphiod Cell(ILC)とInnate Lymphocyte)抗原受容体を持たない自然リンパ球 (1 ~ 3 型自然リンパ球 (ILC1 ~ 3) とNK 細胞) 及び抗原受容体をもつ自然リンパ球 (NKT 細胞,γδ T 細胞,B1 細胞など) の特徴と機能岩渕 和也
5リンパ球の体内循環と白血球の血管外遊走リンパ球体内循環の意義,白血球の血管外遊走に関与する分子群とその特徴について江島 耕二
6免疫学的自己寛容の破綻-自己免疫疾患T 細胞の自己成分に対する反応性回避機構 (中枢性・末梢性) 及びその破綻によって発症すると考えられる代表的な自己免疫疾患について江島 耕二
7過敏症・アレルギー(分類や関連する疾患,検査方法)過敏症の分類とその発生機序,及びそれぞれの関連疾患について玉内 秀一
8免疫不全症(先天性,後天性)先天性免疫不全症の種類と後天性免疫敷衍症候群AIDSの特徴について岩渕 和也
9腫瘍免疫リンパ球による免疫監視機構,腫瘍細胞の「非自己化」と腫瘍抗原,抗腫瘍免疫療法 (免疫チェックポイント療法,CAR-T 細胞療法)江島 耕二
10移植免疫同種間・異種間の移植において生じる問題点 (移植片拒絶やGVHD など) とその機序,及び免疫抑制療法について江島 耕二
11免疫反応の人為的コントロール予防接種・ワクチン,アジュバントの種類と特徴について江島 耕二
12微生物に対する免疫応答多様な微生物の感染とそれぞれに対処する免疫細胞の種類と反応について江島 耕二
13樹状細胞のサブセットと機能獲得免疫反応開始に重要な樹状細胞の種類と特徴について江島 耕二
14粘膜組織における免疫反応の特性消化管をはじめとする粘膜組織における免疫反応の特徴,関与する細胞と分子について江島 耕二
15まとめ全体の確認と復習を行う。江島 耕二
No. 1
項目
免疫学Ⅱの概要―免疫疾患のメカニズム
内容
免疫学Ⅰ範囲の補足,免疫系異常の例
担当者
江島 耕二
No. 2
項目
細胞間の相互作用(接着分子,共刺激分子)
内容
接着を伴う細胞間の情報伝達,T 細胞活性化における共刺激分子・免疫チェックポイント分子
担当者
江島 耕二
No. 3
項目
リンパ球の抗原認識とシグナル伝達
内容
抗原受容体による抗原認識とシグナル伝達について
担当者
江島 耕二
No. 4
項目
自然リンパ球(Innate Lymphiod Cell(ILC)とInnate Lymphocyte)
内容
抗原受容体を持たない自然リンパ球 (1 ~ 3 型自然リンパ球 (ILC1 ~ 3) とNK 細胞) 及び抗原受容体をもつ自然リンパ球 (NKT 細胞,γδ T 細胞,B1 細胞など) の特徴と機能
担当者
岩渕 和也
No. 5
項目
リンパ球の体内循環と白血球の血管外遊走
内容
リンパ球体内循環の意義,白血球の血管外遊走に関与する分子群とその特徴について
担当者
江島 耕二
No. 6
項目
免疫学的自己寛容の破綻-自己免疫疾患
内容
T 細胞の自己成分に対する反応性回避機構 (中枢性・末梢性) 及びその破綻によって発症すると考えられる代表的な自己免疫疾患について
担当者
江島 耕二
No. 7
項目
過敏症・アレルギー(分類や関連する疾患,検査方法)
内容
過敏症の分類とその発生機序,及びそれぞれの関連疾患について
担当者
玉内 秀一
No. 8
項目
免疫不全症(先天性,後天性)
内容
先天性免疫不全症の種類と後天性免疫敷衍症候群AIDSの特徴について
担当者
岩渕 和也
No. 9
項目
腫瘍免疫
内容
リンパ球による免疫監視機構,腫瘍細胞の「非自己化」と腫瘍抗原,抗腫瘍免疫療法 (免疫チェックポイント療法,CAR-T 細胞療法)
担当者
江島 耕二
No. 10
項目
移植免疫
内容
同種間・異種間の移植において生じる問題点 (移植片拒絶やGVHD など) とその機序,及び免疫抑制療法について
担当者
江島 耕二
No. 11
項目
免疫反応の人為的コントロール
内容
予防接種・ワクチン,アジュバントの種類と特徴について
担当者
江島 耕二
No. 12
項目
微生物に対する免疫応答
内容
多様な微生物の感染とそれぞれに対処する免疫細胞の種類と反応について
担当者
江島 耕二
No. 13
項目
樹状細胞のサブセットと機能
内容
獲得免疫反応開始に重要な樹状細胞の種類と特徴について
担当者
江島 耕二
No. 14
項目
粘膜組織における免疫反応の特性
内容
消化管をはじめとする粘膜組織における免疫反応の特徴,関与する細胞と分子について
担当者
江島 耕二
No. 15
項目
まとめ
内容
全体の確認と復習を行う。
担当者
江島 耕二

到達目標

・リンパ球による免疫監視機構の基盤となるリンパ球の体内循環について説明できる
・代表的な免疫関連疾患の病態・特徴を概説することができる
・免疫学的自己寛容の成立やその破綻の機序について,まだ不明である点も含めて具体的に説明できる
・樹状細胞や自然リンパ球の種類や役割について説明できる
・過敏症の分類やアレルギー反応の特徴や機構について説明できる

評価基準

成績評価は定期試験の結果に基づいて行う。(100%)

準備学習(予習・復習)

【授業時間外に必要な学習時間:合計60 時間】
予習:あらかじめ参考書の授業範囲に対応する部分を読んで理解する。特に免疫学Ⅰで出てこなかった専門用語の意味を確認しておく。(合計30 時間)
復習:講義で配布されたスライドのプリントの内容(用語等含む)について,確実に理解できているかどうか確認する。
理解が不十分な箇所は参考図書等で復習する。(合計30 時間)

実務経験のある教員情報

なし

関連科目

なし

その他

講義内容についての確認演習については,演習用紙回収後に授業の中で解説する。また演習の解答と解説も後日配布する。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書指定なし
参考書分子細胞免疫学(原著第10版)A.K. Abbas,A.H. Lichtman,
S. Pilla(i 著)中尾篤人(監訳)
エルゼビア・ジャパン
参考書免疫生物学(原著第9版)K. Murphy, C. Weaver(著)
笹月健彦,吉開泰信(監訳)
南江堂
参考書標準免疫学(第4版)宮坂昌之(監修)医学書院
教科書
署名
指定なし
著者・編者
発行所
参考書
署名
分子細胞免疫学(原著第10版)
著者・編者
A.K. Abbas,A.H. Lichtman,
S. Pilla(i 著)中尾篤人(監訳)
発行所
エルゼビア・ジャパン
参考書
署名
免疫生物学(原著第9版)
著者・編者
K. Murphy, C. Weaver(著)
笹月健彦,吉開泰信(監訳)
発行所
南江堂
参考書
署名
標準免疫学(第4版)
著者・編者
宮坂昌之(監修)
発行所
医学書院