英文名 | Biochemistry of MetabolismⅡ | |
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科目概要 | 生物科学科 3年 3群科目 A選択 2単位 後期 15 コマ 講義 週1コマ | |
科目責任者 | 堤 弘次 | |
担当者 | 堤 弘次、 長島 隆一、 塚本 大輔 | |
備考 | 科目ナンバリング:SB301-Bi36 |
代謝学I で学んだ代謝の基礎事項を発展させ、基本的な代謝機構が細胞間や組織間で違うことや、それらがどのように連携して個体維持に寄与しているのかを理解する。さらに、代謝の変化と関連する疾患や、代謝異常によって引き起こされる疾患について理解する。
糖、脂質代謝について概観する。これを踏まえて、がんで見出された糖代謝の変化(ワールブルグ効果)、代謝異常と疾患の関わりについて学ぶ。また能動的に代謝を切り替える生命現象である冬眠を通じて、代謝の全体像の関連性を理解する。キーワード:糖代謝、アミノ酸代謝、脂質代謝、疾患、冬眠
講義は、パワーポイントを用いてスライド形式で行う。毎回、プリントを配布。演習問題や課題レポートを与える。
回 | 項目 | 内容 | 担当者 |
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1 | 糖代謝 (1) ~ガイダンスと糖代謝の概論~ | ガイダンスと糖代謝の概論について学ぶ。 | 堤 弘次 |
2 | 糖代謝 (2) ~臓器、組織における糖代謝の役割~ | 臓器、組織によって主要なエネルギー源が異なる。臓器、組織ごとにどのように糖代謝を使い分けているかについて学ぶ。 | 堤 弘次 |
3 | 糖代謝 (3) ~寿命とエネルギー代謝~ | エネルギー代謝と生物個体の寿命とは密接な関係がある。最近の知見を含めて概説する。 | 堤 弘次 |
4 | 糖代謝 (4) ~糖代謝と疾患~ | 糖代謝の異常により引き起こされる様々な疾患とその発症原理について学ぶ。 | 堤 弘次 |
5 | 糖代謝 (5) ~がん細胞における糖代謝~ | 古くからがん細胞では糖代謝の異常(ワールブルグ効果)が知られている。糖代謝とがんの関係について最近の知見を交えて概説する。 | 堤 弘次 |
6 | 代謝制御と生命現象(1) | 能動的に代謝を制御する生命現象(冬眠・休眠)について全体像を概説する。 | 塚本 大輔 |
7 | 代謝制御と生命現象(2) | 低体温による細胞死の原因と、冬眠動物がなぜ低体温にもかかわらず細胞死を回避できるのかを代謝の観点から概説する。 | 塚本 大輔 |
8 | 活性酸素種とビタミン | ミトコンドリアで発生する活性酸素種(ROS)と細胞死、それに対する防御機構について学ぶ。さらに、冬眠動物に特有の抗酸化反応についても概説する。 | 塚本 大輔 |
9 | 長期絶食時の腸内細菌叢とアミノ酸代謝 | 長期間の絶食と不動状態でも筋肉(タンパク質)を維持する冬眠動物のアミノ酸代謝機構について学ぶ。特に、肝臓と腸内細菌叢がどのように協調してこのプロセスを実現しているかを概説する。 | 塚本 大輔 |
10 | 人工冬眠と代謝 | 人間は冬眠できるのか?人工冬眠の実現可能性を、冬眠する霊長目とその代謝制御機構、さらには非冬眠哺乳動物を人工的に冬眠様状態に誘導する研究成果など、冬眠研究の最先端の知見から考察する。 | 塚本 大輔 |
11 | 脂質代謝(1)~脂質代謝の概論~ | 脂質代謝の基礎事項を確認し、その概論について学ぶ。 | 長島 隆一 |
12 | 脂質代謝(2)~脂質代謝と疾患~ | 脂質代謝の異常によって引き起こされる様々な疾患を紹介し、その発症原理から代謝経路について理解する。 | 長島 隆一 |
13 | 脂質代謝(3)~脂質と生活習慣病~ | 生活習慣病(動脈硬化、肥満、がん)と脂質代謝との関係について学ぶ。 | 長島 隆一 |
14 | 脂質代謝(4)~燃える褐色脂肪細胞~ | エネルギー代謝、体温、体脂肪の調節などに寄与している褐色脂肪細胞について最近の知見も交えて概説する。 | 長島 隆一 |
15 | 脂質代謝(5)~脂質代謝のまとめ~ | 脂質代謝(1)~(4)をふりかえり、知識定着のための復習を行う。 | 長島 隆一 |
糖質、脂質、アミノ酸の代謝経路を、それらの連携性をも含めて説明できるようする。また、これらの代謝が行われる細胞や組織の違いをきちんと理解する。これを通して、生命維持が個体を構成する組織や細胞が連携して行う代謝の総体によってもたらされていること、そして、それらの変化によって個体も不可逆的に変遷してゆくことを実感する。
定期試験(70%)と演習問題または課題レポートの提出(30%)により評価する。
【授業時間外に必要な学習時間:合計60 時間】
授業の前には、参考書の講義内容に該当する部分を予習すること。授業後は、その日のうちに授業内容全体を復習して理解を定着させるとともに、疑問点を明確にする。疑問点は教員などに質問したり、図書の資料を調べることで必ず解決すること。
(なし)
代謝学I
代謝学I を受講することが望ましいが、必須でなはい。演習問題および課題レポートの解説を講義内で行うか、もしくは講義のGoogle Classroom にアップロードする。必ずGoogle Classroom に登録すること。課題レポートへのコメントは必要に応じて個別に返す。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 毎回、プリント資料を配布する。 | ||
参考書 | ホートン 生化学 第5 版 | Horton 他 鈴木絋一他監訳 | 東京化学同人 |
参考書 | 細胞の分子生物学 第6版 | Bruce Alberts 他 中村桂子・松原謙一監訳 | ニュートンプレス |
参考書 | レーニンジャーの新生化学(上下)第7版 | David L. Nelson他 川嵜敏祐 他監修 | 東京廣川書店 |
参考書 | 身近な生化学 分子から生命と疾患を理解する | 畠山 大 | 羊土社 |