英文名 | Neurobiology | |
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科目概要 | 生物科学科 3年 3群科目 A選択 2単位 前期 15 コマ 講義 週1コマ | |
科目責任者 | 萬代 研二 | |
担当者 | 萬代 研二※、 阪上 洋行※、 原 芳伸※、 畠山 裕康※、 丸尾 知彦※、 山田 玲※、 入江 智彦※、 鳥居 知宏※、 笠井 昌俊※ | |
備考 | 科目ナンバリング:SB301-Bi37 |
脳をはじめとする神経系の発生・分化、構造、機能と可塑的変化、それらの分子基盤と測定技術の基礎を学ぶことで脳の作動原理を理解し(SG2、SB2)、その研究手法を理解する(SG1、SB1)。さらに、社会が直面する重要な問題でもある、脳機能の破綻による精神・神経疾患も取り上げ、これに対するために必要な科学的知識を学ぶ(SG3,SB3)。
脳は無数の神経細胞からなり、脳内、および脳と末梢との間で巡らされた神経回路によって感覚、運動、情動と認知などを実行している。しかし、その構造や作動の仕組みは、神経系の複雑性のために理解が遅れていた。脳と神経系の構築と機能の原理についてはこの半世紀で革新的に理解が進んでいる。その推進力となった神経科学、特に神経生物学の考え方と研究手法に基づき、脳・神経系の構築と機能を正しく理解することによって、私達の感覚、行動やこころの動きなどを理解することができる。本講義では、神経系を分子・細胞生物学的手法で研究するための基礎を、脳の構造の形成と機能する仕組みに焦点を当てて概説する。発展的項目として、バイオインフォーマティックスの発展に伴った遺伝子、タンパク質、脳に関するデータベースの取り扱いについての自己学習形式の演習を設けている。
配布するプリントに沿ってスライドで示しながら講義をすすめる。授業内容は各教員の専門分野の経験と知見を中心としており、特定の成書に準拠したものではない。後欄に挙げた参考書を用いた予習復習は講義の理解を助けるうえで有効だろう。
回 | 項目 | 内容 | 担当者 | 日時 |
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1 | 脳・神経系概観 | 脳機能概観、神経生物学研究の歴史 | 萬代 研二 | 4/10② |
2 | 中枢神経系(脊髄・脳)の構造(1) | 脊髄、脳幹、小脳 | 阪上 洋行 | 4/17② |
3 | 中枢神経系(脊髄・脳)の構造(2) | 間脳、大脳半球 | 阪上 洋行 | 4/24② |
4 | 脳の発生 | 神経系の発生、大脳新皮質の発生など | 原 芳伸 | 5/8② |
5 | シナプス伝達と神経伝達物質 | シナプス、シナプス前部機構、開口放出、軸索輸送、神経伝達物質 | 畠山 裕康 | 5/15② |
6 | シナプスの分子生物学 | シナプス小胞、シナプス後部の機能、神経伝達物質受容体、シグナル伝達など | 丸尾 知彦 | 5/22② |
7 | 神経細胞とシナプスの電気生理 | 膜輸送、膜電位、活動電位、興奮伝導、シナプス後電位の統合など | 山田 玲 | 5/29② |
8 | シナプス伝達の可塑性 | シナプス伝達の可塑性(海馬長期増強、小脳長期抑圧など) | 入江 智彦 | 6/5② |
9 | 神経膠細胞 | 神経膠細胞の機能と関連する疾患 | 鳥居 知宏 | 6/12② |
10 | 神経回路形成 | 神経回路形成の分子細胞生物学 | 萬代 研二 | 6/19② |
11 | 体性感覚 | 体性感覚の概要と回路形成 | 萬代 研二 | 6/26② |
12 | 精神・神経疾患 | 精神疾患と神経疾患の分子細胞生物学 | 萬代 研二 | 7/3② |
13 | 視覚 | 中枢神経系の視覚情報処理(視覚野の階層性、かたち・運動・奥行き知覚、盲視など) | 笠井 昌俊 | 7/10② |
14 | 神経機能の研究方法 | イメージング、分子生物学、発生工学など | 丸尾 知彦 | 7/17② |
15 | in silico 解析の演習 | 復習を兼ねた、生命科学や神経科学領域のデータベースを使った自己学習形式の演習(要PC) | 萬代 研二 | その他 |
1. 中枢神経系の区分と主な機能を概説できる。
2. 主な上行性神経伝導路と下行性神経伝導路を概説できる。
3. 中枢神経系を構成する神経細胞と神経膠(グリア)細胞の種類と役割を概説できる。
4. シナプス伝達の仕組み、学習の分類、シナプス可塑性の神経回路形成や記憶における意義について概説できる。
5. 中枢神経の発生・発達と神経回路形成の仕組みを概説できる。
6. 視覚と体性感覚の仕組みを概説できる。
7. 神経系の研究に用いられる研究手法を概説できる。
8. 代表的な神経変性疾患と精神疾患を概説できる。
9. 基本的なデーターベースの概要を理解し、活用することができる。
毎回の確認課題の提出と理解度によって評価する(100%)。
課題提出の期限は厳守のこと。特に指示がなければ次週の月曜日13時までに理学部教務課に提出すること。教官によってはGoogle Classroomによって提出する場合もある。
課題回答が未提出の場合は評価点が与えられない。また、期限に遅れた場合は受理しない。
【授業時間外に必要な学習時間:参考書を用いた予習と、講義資料や参考書による復習と課題の答案作成に各回最低1時間が見込まれる。】
予習:参考書の該当範囲を読み、疑問点を整理しておく。
復習:講義内容に関するプリントを配布する。講義日にプリントを用い復習する。参考書は興味を持った分野の更なる知識獲得のために随時利用されたい。
担当教員は、国立および海外の研究機関、あるいは国内基幹病院で神経科学に関する研究や、脳神経科学の臨床に携わり神経科学の推進に貢献してきた。これらの経験をもとに、脳・神経科学研究の面白さや重要性の理解を助ける講義を行う。
なし
講義毎に、学習内容を基本として考える課題を出題する。必ずしも正解がないものもある。自ら考えることが最も重要な学習である。その延長にある質問などは歓迎する。課題に対して講義で講評を行う。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | なし | ||
参考書 | 1.人体の正常構造と機能(全10巻縮刷版)改訂第4版 | 坂井、河原 編 | 日本医事新報社 |
参考書 | 2.脳神経科学イラストレイテッド 改訂第3 版 | 真鍋、森、渡辺、岡野、宮川 著 | 羊土社 |
参考書 | 3.神経解剖学講義ノート | 寺島俊雄 著 | 金芳堂 |
参考書 | 4.スタンフォード神経生物学 | Liqun Luo 著、柚崎、岡部 監訳 | メディカル・サイエンス・インターナショナル |
参考書 | 5.カンデル神経科学 第2版 | 宮下 監修 | メディカル・サイエンス・インターナショナル |