Web Syllabus(講義概要)
トップへ戻る 前のページへ戻る
分子機能化学
英文名Structural and Functional Aspects of Organic Chemistry
科目概要化学科 3年 3群科目 必修 2単位 後期 15 コマ 講義 週1コマ
科目責任者長谷川 真士
担当者長谷川 真士
備考科目ナンバリング:SC301-CO32

教員免許取得のための必修科目

科目教科に関する専門的事項(中・高 理科)
施行規則に定める科目区分
  • 化学

授業の目的

有機化合物が示す物性は構造と電子状態に大きく依存する他、集合状態にも左右される。有機化合物の分子や分子集合体が示す機能とは何か、またその機能はどのようなメカニズムで発現するかについて、分子を基本単位として考察する考え方を習得させる。

DPとの関連

SG2SG3SC2SC3

教育内容

フェニキア人の貝紫から、フォトリソグラフィー用の色素、スマートフォンに利用される導電性材料に至るまで、革新的な有機材料は人類の生活史に劇的な変化を及ぼしてきた。講義では有機物質が示す様々な物理現象を、分子構造や電子構造と外部刺激との相関という観点から捉えて理解し、有機材料について有史以来から現代に至るまでの代表的なの材料を紹介すると共に、最新のトピックスを分子論的に解説する。講義内容は、序論として有機化学の様々な物理現象(光特性、酸化還元など)を学んだ後、古典的色素、機能性色素、導電性有機材料、有機半導体、超分子化学、ナノ構造の開発の順に紹介を予定している。

教育方法

資料を配付し、それにそって解説しながら進める。最新のトピックスは適宜論文を引用したスライド(動画を含む)等を用いる。講義中または講義後に課題を出題し、GoogleClassroom を通じて回収を行う。Classroom にて課題に対するフィードバックを行う。

授業内容

項目内容担当者
1序論( 分子機能化学の概説)分子および分子集合体の機能、最新のトピックスについて紹介する。家電量販店の電子棚札やB787に使用される「窓」に利用されるエレクトロクロミック材料を例に、有機材料が私たちの社会にもたらした影響を俯瞰し、分子機能化学での学習を紹介する。長谷川 真士
2物性有機化学の基礎1(光とエネルギー)有機化合物における蛍光、リン光とその材料および有機化合物の酸化還元の基礎について紹介する。長谷川 真士
3物性有機化学の基礎2(酸化還元)HOMO およびLUMO のエネルギー準位と構造相関について理解を深める。有機化合物からなるドナー、アクセプターを紹介し、電荷移動錯体のメカニズムならびにそれらが示す現象についての理解を深める。長谷川 真士
4色素の有機化学 1(色素と分子構造)色素における発色の仕組みを学ぶ。電子構造と色調について紹介し、古典的な 色素の分子設計について学ぶ。長谷川 真士
5色素の有機化学 2(人類の歴史と古典的な色素)有史以来の人類と色素のかかわり合いを紹介し、現代の化学工業に至るまでを紹介する。発色団としての代表的な分子骨格と用途(例えば、服飾、食品、インクなど)を紹介する。長谷川 真士
6機能性色素 1(クロミック材料)外部刺激(酸、塩基、熱、電気など)に応答するクロミック特性について学び、フェノールフタレインなどの具体的な色素の構造変化と発色の関係を紹介する。長谷川 真士
7機能性色素 2(フォトクロミック材料)エネルギー受容体としての色素を理解し、これまでに学習した有機反応である「電子環状反応」を利用したフォトクロミック材料のメカニズムと応用例について学ぶ。長谷川 真士
8機能性色素 3(フォトレジスト、有機EL 材料)ディスプレイ用の色素から、リソグラフィー技術に利用されているフォトレジスト用色素などを学ぶ。現代で活躍する化学メーカーと半導体市場の関連についても紹介する。長谷川 真士
9導電性有機材料1(有機化合物の電気伝導メカニズム)電気伝導を電子の動きとして紹介し、有機分子内の伝導挙動について紹介する。分子性導体の電子構造やメカニズムについて学ぶ。長谷川 真士
10導電性有機材料2(バンド構造、導電性高分子)分子性導体や導電性高分子における伝導メカニズムについて、バンド構造を理解しながら紹介する。p 型、n 型の概念に関する理解を深め、分子構造との関連を紹介する。長谷川 真士
11導電性有機材料3(有機電界効果トランジスター)有機電界効果トランジスター(FET)に関して動作機構を紹介する。また、有機化合物を用いた電子デバイス(薄膜)の作製方法について学ぶ。長谷川 真士
12超分子化学1(相互作用とエントロピー
~分子間相互作用と集合現象)
分子間に働く非共有結合の種類と強さについて学ぶ。超分子化学における「相互作用」と「相補性」の相乗効果を理解し、熱力学的パラメータとの相関を学ぶ。長谷川 真士
13超分子化学2(分子認識と自己集合)クラウンエーテルやシクロデキストリン、について紹介する。化学構造および酸塩基の効果(HSAB 則)と相互作用の強弱について理解を深める。長谷川 真士
14超分子化学3(自己集合によるナノ構造の構築)相補的水素結合からなるナノ構造とその機能性に関する最新のトピックスを紹介する。長谷川 真士
15まとめ全体の確認と復習。スライドを用いて復習する。長谷川 真士
No. 1
項目
序論( 分子機能化学の概説)
内容
分子および分子集合体の機能、最新のトピックスについて紹介する。家電量販店の電子棚札やB787に使用される「窓」に利用されるエレクトロクロミック材料を例に、有機材料が私たちの社会にもたらした影響を俯瞰し、分子機能化学での学習を紹介する。
担当者
長谷川 真士
No. 2
項目
物性有機化学の基礎1(光とエネルギー)
内容
有機化合物における蛍光、リン光とその材料および有機化合物の酸化還元の基礎について紹介する。
担当者
長谷川 真士
No. 3
項目
物性有機化学の基礎2(酸化還元)
内容
HOMO およびLUMO のエネルギー準位と構造相関について理解を深める。有機化合物からなるドナー、アクセプターを紹介し、電荷移動錯体のメカニズムならびにそれらが示す現象についての理解を深める。
担当者
長谷川 真士
No. 4
項目
色素の有機化学 1(色素と分子構造)
内容
色素における発色の仕組みを学ぶ。電子構造と色調について紹介し、古典的な 色素の分子設計について学ぶ。
担当者
長谷川 真士
No. 5
項目
色素の有機化学 2(人類の歴史と古典的な色素)
内容
有史以来の人類と色素のかかわり合いを紹介し、現代の化学工業に至るまでを紹介する。発色団としての代表的な分子骨格と用途(例えば、服飾、食品、インクなど)を紹介する。
担当者
長谷川 真士
No. 6
項目
機能性色素 1(クロミック材料)
内容
外部刺激(酸、塩基、熱、電気など)に応答するクロミック特性について学び、フェノールフタレインなどの具体的な色素の構造変化と発色の関係を紹介する。
担当者
長谷川 真士
No. 7
項目
機能性色素 2(フォトクロミック材料)
内容
エネルギー受容体としての色素を理解し、これまでに学習した有機反応である「電子環状反応」を利用したフォトクロミック材料のメカニズムと応用例について学ぶ。
担当者
長谷川 真士
No. 8
項目
機能性色素 3(フォトレジスト、有機EL 材料)
内容
ディスプレイ用の色素から、リソグラフィー技術に利用されているフォトレジスト用色素などを学ぶ。現代で活躍する化学メーカーと半導体市場の関連についても紹介する。
担当者
長谷川 真士
No. 9
項目
導電性有機材料1(有機化合物の電気伝導メカニズム)
内容
電気伝導を電子の動きとして紹介し、有機分子内の伝導挙動について紹介する。分子性導体の電子構造やメカニズムについて学ぶ。
担当者
長谷川 真士
No. 10
項目
導電性有機材料2(バンド構造、導電性高分子)
内容
分子性導体や導電性高分子における伝導メカニズムについて、バンド構造を理解しながら紹介する。p 型、n 型の概念に関する理解を深め、分子構造との関連を紹介する。
担当者
長谷川 真士
No. 11
項目
導電性有機材料3(有機電界効果トランジスター)
内容
有機電界効果トランジスター(FET)に関して動作機構を紹介する。また、有機化合物を用いた電子デバイス(薄膜)の作製方法について学ぶ。
担当者
長谷川 真士
No. 12
項目
超分子化学1(相互作用とエントロピー
~分子間相互作用と集合現象)
内容
分子間に働く非共有結合の種類と強さについて学ぶ。超分子化学における「相互作用」と「相補性」の相乗効果を理解し、熱力学的パラメータとの相関を学ぶ。
担当者
長谷川 真士
No. 13
項目
超分子化学2(分子認識と自己集合)
内容
クラウンエーテルやシクロデキストリン、について紹介する。化学構造および酸塩基の効果(HSAB 則)と相互作用の強弱について理解を深める。
担当者
長谷川 真士
No. 14
項目
超分子化学3(自己集合によるナノ構造の構築)
内容
相補的水素結合からなるナノ構造とその機能性に関する最新のトピックスを紹介する。
担当者
長谷川 真士
No. 15
項目
まとめ
内容
全体の確認と復習。スライドを用いて復習する。
担当者
長谷川 真士

到達目標

次年度の卒業研究に向けて,観測される実験事実を分子論的に考察できるような力を身につけることを目的とする。講義を通じて得た知識をもとに「考えて仮説を立てる」ことが出来ることを到達目標とする。

評価基準

期末試験により評価する(100%)。出席状況に応じて減点する。適宜、練習問題等を配付し、授業内解答を行い提出を求め評価を行う。

準備学習(予習・復習)

【授業時間外に必要な学習時間:1回の講義に対して合計4時間の予習復習を要する】
【予習】配布された資料を読み、図書館等で関連する事象に関して調べ、内容の理解に努めること。【復習】適宜まとめノート等を作成し講義内容の整理,把握に努めて分子論によるイメージをつかむこと。適宜、質問可能であるが、必要に応じて参考書を閲覧し理解不足な点を補うこと。

実務経験のある教員情報

(なし)

関連科目

(なし)

その他

講義内容を理解しながら改めて「清書ノート」を作製することを強く薦める。理解不足な点は適宜質問すること。講義に関連したまとめ小テストを講義終了後、Classroom にて行い、その結果をClassroom を通じて回答する。化学と現代の生活(経済活動)は密接に関係しており、将来、いかなる分野に進んでも材料に関して広く世の中のトピックスにアンテナを張っておくことが重要である。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書資料を配付する
参考書マテリアルサイエンス有機化学(第2販)伊与田正彦、横山泰、西長亨東京化学同人
教科書
署名
資料を配付する
著者・編者
発行所
参考書
署名
マテリアルサイエンス有機化学(第2販)
著者・編者
伊与田正彦、横山泰、西長亨
発行所
東京化学同人