英文名 | Experiments in Physical Chemistry (Laboratory) | |
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科目概要 | 化学科 3年 3群科目 必修 2単位 前期 60 コマ 実習 | |
科目責任者 | 石川 春樹 | |
担当者 | 石川 春樹、 水瀬 賢太※、 南 英之、 森屋 亮平、 星野 翔麻、 小塚 友太 | |
備考 | 科目ナンバリング:SC303-CP33 |
科目 | 教科に関する専門的事項(中・高 理科) |
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施行規則に定める科目区分 |
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自然界の多様な物質の性質とその変化に関する基礎知識と,それを活用する能力を修得することを目指す。そのため,実験を通して,基本原理に基づく測定・解析能力を習得する。暗記ではなく自分の頭で考えるという物理化学的な考え方や定量的なものの見方を身につけ,今後の研究の場において物質の構造,反応機構を議論できるようにする。
熱量,粘度測定や共溶現象の観測による物質の熱的性質や赤外および可視・紫外分光法,X 線回折法などによる分子の構造決定や電子・振動・回転状態の挙動の理解,および反応速度の解析など多岐に渡る物理化学実験として重要な基礎項目を取り扱う。各項目において,実験の手順,技術を理解し,データ解析,データの解釈,論文(実験レポート)のまとめ方などを学ぶ。
理学部化学科でオリジナルに作成した「物理化学実験テキスト」に沿って実験を行う。各実験は2~3名で構成される班ごとに分かれて行う。各項目の実験終了後,指定された日時までにレポートを作成し提出する。
回 | 項目 | 内容 | 担当者 |
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1 | ガイダンス | 物理化学実験の目的,実習の進め方について説明する。 | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
2 | 実験講義(1) | 実習項目A,B,C の内容について解説する。 | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
3 | 実験講義(2) | 実習項目E,G,H の内容について解説する。 | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
4 | A 項目:結晶/液晶/液体の相転移の熱量測定 | DSC により液晶物質の相転移におけるエネルギー,エントロピー変化を求め解析し,液晶状態の性質を理解する。 | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
5 | B 項目:赤外分光法を用いた分子運動、構造、分子間相互作用の考察 | 赤外分光器を用いて気相分子の振動回転スペクトルや溶液中の分子の振動スペクトルを測定するとともに、スペクトル解析を通じて分子分光学の基礎を学ぶ | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
6 | C 項目:高分子溶液の粘度測定 | 液体の流体力学的性質について学び,溶質高分子の分子量,分子構造について考える。 | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
7 | E 項目:二成分混合系の臨界共溶現象 | ヘキサン-メタノールの混合液体の臨界共溶線をつくり,溶液物性を規定する熱力学的関数を理解する。 | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
8 | G 項目:分子の電子的励起状態と蛍光スペクトル | π共役分子の蛍光・励起スペクトル,エキシマー蛍光の観測を通して分子の電子的励起状態とその緩和現象について理解する。 | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
9 | H 項目:可視・紫外分光法を用いた反応速度の解析 | 有機化合物の溶液内反応(求核置換反応)を,可視・紫外分光法で調べ,反応速度の解析,活性化状態の熱力学的考察を行う。 | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
10 | I 項目:結晶のX 線回折 | 粉末X 線回折の測定と解析を行い,X 線回折の原理,結晶構造を理解する。 | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
11 | まとめ | 実習を通して学んだ基礎事項の確認を行う。 | 石川 春樹 南 英之 水瀬 賢太 |
種々の物理化学的測定の手法を学び,使えるようになる。測定したデータを基に物質の構造・状態や反応機構などについて,定量的な議論ができるようになる。行った実験に対して,測定内容,データの解析および解釈をレポートとしてわかりやすくまとめられるようになる。
実習中の口頭試問,レポート,筆記試験で総合的に評価する。実習への積極的な参加は加点の対象とし,欠席や消極的な参加態度は減点の対象とする。
【授業時間外に必要な学習時間:-】
実験テキストは,物理化学における実験技術を習得するとともに,その体系の理解,科学的思考法の練成を目的として編集している。各項目ごとに,目的と原理を明記し,実験方法およびデータ処理法を説明したのち,考察のポイントをまとめている。①あらかじめ,目的や原理をよく読んで内容を理解し,②理論,実験手順,考察など,全体の体系を理解した上で,実験に臨むこと。実験終了後には,③関連する講義における教科書・各自のノート・参考書などをもとに復習し,実験の内容,結果に対して考察を加え,レポートを作成する。
(水瀬)文部科学省管轄の研究機関で分子運動の計測法や分光法開発に従事した経験をもとに、実践的実験・解析手法の指導や、分光学理解に必要な分子運動の扱いについての解説を行う。
物理化学I,II,量子化学I,II, 分子構造学,反応機構学I,II
レポートの全体的な講評をClassroom で紹介する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 物理化学実験テキスト | 分子構造学・反応機構学講座編 | |
参考書 | アトキンス 物理化学 第10 版(上)(下) | Peter Atkins, Julio de Paula 中野元裕,上田貴洋, 奥村光隆,北河康隆 訳 | 東京化学同人 |