Web Syllabus(講義概要)
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物理化学Ⅲ
英文名Physical Chemistry Ⅲ
科目概要物理学科 3年 3群科目 B選択 2単位 前期 15 コマ 講義 週1コマ
化学科 3年 3群科目 A選択 2単位 前期 15 コマ 講義 週1コマ
科目責任者石川 春樹
担当者石川 春樹
備考科目ナンバリング:SP301-Ch35
科目ナンバリング:SC301-CP37

授業の目的

自然界の多様な物質の性質とその変化を理解する上で,熱力学的な性質は非常に重要である。物質を構成する分子1 個1 個を記述する量子化学と巨視的な熱力学的性質を結びつける統計熱力学の基礎を理解し,その基本原理に基づいた物質の性質(内部エネルギー,熱容量,エンタルピー,エントロピー,平衡定数など)を考察できるようにする。

DPとの関連

SG1SC1

教育内容

まず簡単な確率や統計に基づいた統計力学の基本概念(エントロピーやボルツマン分布)を教える。次に,分子のエネルギーから得られる分配関数を使って系全体のエネルギーやエントロピーなどいわゆる熱力学関数が表されることを理解させる。さらに,量子化学から得られる分子個々の性質に基づいて化学分野のいろいろな問題,例えば物質の熱的性質や化学平衡を統計力学的に考察させる。

教育方法

パワーポイントを用いた講義を中心とする。また,演習やレポートを通して内容の定着を図る。

授業内容

項目内容担当者
1統計化学熱力学の基本概念とボルツマン分布統計力学の役割を説明した後,等確率の原理に基づき,実現可能な場合の数から確率を考え,統計的に熱力学状態が決定されることを学ぶ。さらに基本となるボルツマン分布を紹介する。石川 春樹
2ボルツマン分布の導出と分子分配関数の物理的意味統計力学の基本となるボルツマン分布の導出を行うとともに,分子分配関数の物理的意味を理解する。石川 春樹
3内部エネルギーと統計力学的エントロピー内部エネルギーと分配関数の関係を考察するとともに,統計力学に基づいたエントロピーの概念を学ぶ。石川 春樹
4統計力学エントロピー,分子分配関数の内訳統計力学的エントロピーと熱力学的エントロピーが同じであることを確認する。さらに,分子分配関数を見積もる基礎として,その内訳を学ぶ。石川 春樹
5並進分配関数と回転分配関数並進分配関数と回転分配関数の計算方法を学ぶ。石川 春樹
6対称数の導入,振動および電子分配関数分子回転を取り扱う際に重要な対称数の概念を導入する。振動および電子状態に関する分子分配関数の計算方法を考察する。石川 春樹
7分子のエネルギー分子分配関数を用いて分子のエネルギーが計算できることを学ぶ。石川 春樹
8正準アンサンブル正準アンサンブルの概念を学び,正準分配関数と分子分配関数の関係を考察する。石川 春樹
9中間のまとめ中間テストにより前半の内容確認を行う。石川 春樹
10内部エネルギーとエントロピー内部エネルギー,熱容量とエントロピーを正準分配関数から計算する方法について学ぶ。石川 春樹
11エントロピーの内訳分子の運動自由度ごとのエントロピーの内訳について考察する。石川 春樹
12残余エントロピー,熱力学関数残余エントロピーについて考察する。さらに,種々の熱力学関数を統計力学的に導出する。石川 春樹
13平衡定数(1)統計力学的なギブズエネルギーの計算を確認し,化学平衡に対する平衡定数の取り扱いを学ぶ。石川 春樹
14平衡定数(2)いくつかの例により,平衡定数を統計力学的に評価する。石川 春樹
15まとめ全体の確認と復習を行う。石川 春樹
No. 1
項目
統計化学熱力学の基本概念とボルツマン分布
内容
統計力学の役割を説明した後,等確率の原理に基づき,実現可能な場合の数から確率を考え,統計的に熱力学状態が決定されることを学ぶ。さらに基本となるボルツマン分布を紹介する。
担当者
石川 春樹
No. 2
項目
ボルツマン分布の導出と分子分配関数の物理的意味
内容
統計力学の基本となるボルツマン分布の導出を行うとともに,分子分配関数の物理的意味を理解する。
担当者
石川 春樹
No. 3
項目
内部エネルギーと統計力学的エントロピー
内容
内部エネルギーと分配関数の関係を考察するとともに,統計力学に基づいたエントロピーの概念を学ぶ。
担当者
石川 春樹
No. 4
項目
統計力学エントロピー,分子分配関数の内訳
内容
統計力学的エントロピーと熱力学的エントロピーが同じであることを確認する。さらに,分子分配関数を見積もる基礎として,その内訳を学ぶ。
担当者
石川 春樹
No. 5
項目
並進分配関数と回転分配関数
内容
並進分配関数と回転分配関数の計算方法を学ぶ。
担当者
石川 春樹
No. 6
項目
対称数の導入,振動および電子分配関数
内容
分子回転を取り扱う際に重要な対称数の概念を導入する。振動および電子状態に関する分子分配関数の計算方法を考察する。
担当者
石川 春樹
No. 7
項目
分子のエネルギー
内容
分子分配関数を用いて分子のエネルギーが計算できることを学ぶ。
担当者
石川 春樹
No. 8
項目
正準アンサンブル
内容
正準アンサンブルの概念を学び,正準分配関数と分子分配関数の関係を考察する。
担当者
石川 春樹
No. 9
項目
中間のまとめ
内容
中間テストにより前半の内容確認を行う。
担当者
石川 春樹
No. 10
項目
内部エネルギーとエントロピー
内容
内部エネルギー,熱容量とエントロピーを正準分配関数から計算する方法について学ぶ。
担当者
石川 春樹
No. 11
項目
エントロピーの内訳
内容
分子の運動自由度ごとのエントロピーの内訳について考察する。
担当者
石川 春樹
No. 12
項目
残余エントロピー,熱力学関数
内容
残余エントロピーについて考察する。さらに,種々の熱力学関数を統計力学的に導出する。
担当者
石川 春樹
No. 13
項目
平衡定数(1)
内容
統計力学的なギブズエネルギーの計算を確認し,化学平衡に対する平衡定数の取り扱いを学ぶ。
担当者
石川 春樹
No. 14
項目
平衡定数(2)
内容
いくつかの例により,平衡定数を統計力学的に評価する。
担当者
石川 春樹
No. 15
項目
まとめ
内容
全体の確認と復習を行う。
担当者
石川 春樹

到達目標

統計化学熱力学の基礎を理解し,種々の熱力学関数や平衡定数を統計力学的に求めることができる。

評価基準

毎回の課題提出による積極的な受講態度の評価(10%),中間テスト(30%)及び期末試験(60%)により総合的に評価する。

準備学習(予習・復習)

【授業時間外に必要な学習時間:毎回の予習1 時間,復習3 時間,合計60 時間】
配布プリントおよび教科書にしたがって予習をしておくこと。
学習内容の理解を深めるために講義ごとにレポート課題を出すので,必ず次週までに解いてくること。
また,1年次の化学熱力学の復習と対数や指数関数の微分の復習をしておくこと。

実務経験のある教員情報

(なし)

関連科目

物理化学概論,物理化学I,II,量子化学I,II

その他

レポート課題については,採点し返却するとともに,解答例を提示する。
講義中に演習を行うので,関数電卓を持参すること。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書アトキンス 物理化学 第10 版(下)Peter Atkins, Julio de Paula 
中野元裕,上田貴洋,
奥村光隆,北河康隆 訳
東京化学同人
参考書統計力学入門 化学の視点から田中 一義化学同人
参考書統計熱力学入門N.O.Smith東京化学同人
教科書
署名
アトキンス 物理化学 第10 版(下)
著者・編者
Peter Atkins, Julio de Paula 
中野元裕,上田貴洋,
奥村光隆,北河康隆 訳
発行所
東京化学同人
参考書
署名
統計力学入門 化学の視点から
著者・編者
田中 一義
発行所
化学同人
参考書
署名
統計熱力学入門
著者・編者
N.O.Smith
発行所
東京化学同人