Web Syllabus(講義概要)
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解析力学
英文名Analytical Mechanics
科目概要物理学科 2年 3群科目 必修 2単位 前期 15 コマ 講義 週1コマ
科目責任者川﨑 健夫
担当者川﨑 健夫
備考科目ナンバリング:SP301-PF29

授業の目的

解析力学は、ニュートン力学の概念を拡張し、複雑な系を一般的に扱うことのできる数学的体系としてまとめられた学問分野である。直交座標に限らず任意の座標を用い、運動量、速度、力等の物理量を一般化した形式で表現し、ニュートン力学とは異なるラグランジュ運動方程式を中心とした手法である、「解析力学」を修得する。

DPとの関連

SP1

教育内容

ラグランジュ運動方程式を中心とした解析力学について学ぶ。 座標、運動量、速度、力等の物理量を「一般化」した形式で扱う解析的な方法を説明する。 変分法、ラグランジュ運動方程式、ハミルトン正準方程式等について講述する。加えて、統計力学および量子力学との繋がりを説明する。

教育方法

板書を多用した講義をおこなう。必要に応じて講義内容に沿った課題を課し、中間テストおよび期末テストにより理解度を確認する。

授業内容

項目内容
1解析力学とは極座標表記を例に、微分を用いた力学の簡単な復習
ニュートン運動方程式の制約を理解し、解析力学の必要性を理解する。
2一般速度、一般運動量、ラグランジュの運動方程式一般速度,一般運動量,ラグランジュの運動方程式について学ぶ。ラグランジュの運動方程式をニュートンの運動方程式からの導出(その1)。
3力学問題:ばね振り子と中心力具体的な力学問題をラグランジュの運動方程式を解くことで解析力学の理解を深める。
4一般力と減衰力一般力について学ぶ。中心力と循環座標、減衰力と散逸関数について学ぶ。
5拘束条件と自由度運動における拘束条件と自由度の取り扱いを学ぶ。
変分原理について理解する。
6オイラーの微分方程式からラグランジュ形式へ仮想変位、汎関数、変分法について学び、オイラーの微分方程式を導く。
7ラグランジュの運動方程式「ハミルトンの原理」からラグランジュの運動方程式を導く。
ネーターの定理(対称性と保存則)
8ハミルトンの正準方程式ハミルトンの正準方程式に対して、具体例(落下運動・調和振動子)を考える。位相空間・トラジェクトリーの意味を理解する。
9具体的なラグランジュ方程式の問題1具体的な問題を、ラグランジュの運動方程式を用いて解くことにより理解を深める。ラグランジュの未定乗数法を解説する。
10具体的なラグランジュ方程式の問題2具体的な問題を、ラグランジュの運動方程式を用いて解くことにより理解を深める。剛体の運動他。
11具体的なラグランジュ方程式の問題3具体的な問題を、ラグランジュの運動方程式を用いて解くことにより理解を深める。2重振り子の連成振動他。
12ハミルトン形式による力学系の理解1ハミルトニアンを定義し、ハミルトンの正準方程式を導出する。正準変換の概念を理解する。
13ハミルトン形式による力学系の理解2ハミルトン形式における、リウビルの定理・ポアソン括弧式について学ぶ。
14まとめ1全体の復習と確認
15まとめ2全体の復習と確認
No. 1
項目
解析力学とは
内容
極座標表記を例に、微分を用いた力学の簡単な復習
ニュートン運動方程式の制約を理解し、解析力学の必要性を理解する。
No. 2
項目
一般速度、一般運動量、ラグランジュの運動方程式
内容
一般速度,一般運動量,ラグランジュの運動方程式について学ぶ。ラグランジュの運動方程式をニュートンの運動方程式からの導出(その1)。
No. 3
項目
力学問題:ばね振り子と中心力
内容
具体的な力学問題をラグランジュの運動方程式を解くことで解析力学の理解を深める。
No. 4
項目
一般力と減衰力
内容
一般力について学ぶ。中心力と循環座標、減衰力と散逸関数について学ぶ。
No. 5
項目
拘束条件と自由度
内容
運動における拘束条件と自由度の取り扱いを学ぶ。
変分原理について理解する。
No. 6
項目
オイラーの微分方程式からラグランジュ形式へ
内容
仮想変位、汎関数、変分法について学び、オイラーの微分方程式を導く。
No. 7
項目
ラグランジュの運動方程式
内容
「ハミルトンの原理」からラグランジュの運動方程式を導く。
ネーターの定理(対称性と保存則)
No. 8
項目
ハミルトンの正準方程式
内容
ハミルトンの正準方程式に対して、具体例(落下運動・調和振動子)を考える。位相空間・トラジェクトリーの意味を理解する。
No. 9
項目
具体的なラグランジュ方程式の問題1
内容
具体的な問題を、ラグランジュの運動方程式を用いて解くことにより理解を深める。ラグランジュの未定乗数法を解説する。
No. 10
項目
具体的なラグランジュ方程式の問題2
内容
具体的な問題を、ラグランジュの運動方程式を用いて解くことにより理解を深める。剛体の運動他。
No. 11
項目
具体的なラグランジュ方程式の問題3
内容
具体的な問題を、ラグランジュの運動方程式を用いて解くことにより理解を深める。2重振り子の連成振動他。
No. 12
項目
ハミルトン形式による力学系の理解1
内容
ハミルトニアンを定義し、ハミルトンの正準方程式を導出する。正準変換の概念を理解する。
No. 13
項目
ハミルトン形式による力学系の理解2
内容
ハミルトン形式における、リウビルの定理・ポアソン括弧式について学ぶ。
No. 14
項目
まとめ1
内容
全体の復習と確認
No. 15
項目
まとめ2
内容
全体の復習と確認

到達目標

解析力学の原理・概念を理解し、以下のような問題を独力で解けるようになることを到達目標とする
(1) 簡単な力学系についてラグランジュの運動方程式により問題を解くことができる。
(2) 変分法、ハミルトンの原理を説明できる。
(3) ハミルトニアンの物理的意味が説明できる。

評価基準

課題提出および中間テスト(40%)、期末テスト(60%)の割合で評価する。

準備学習(予習・復習)

【授業時間外に必要な学習時間:1コマあたり4 時間】
予習:各項目の講義内容に前もって目を通し、理解が困難な概念や計算を把握しておく。
復習:講義内容の深い理解に努める。計算式については、講義中にすべての計算過程を明示することはしないため、自身で手を動かして確認することが必要である。講義中の課題では繰り返し同じ数学的手法を用いるので、講義ノートを見なくても独力で解けるように復習する。

実務経験のある教員情報

該当教員なし

関連科目

「微分積分Ⅰ・Ⅱ」、「力学Ⅰ・Ⅱ」の内容を十分に理解していることが必要となる。本講義の数学的手法は、「量子力学Ⅰ・Ⅱ」、「熱統計力学II」の基礎となる。

その他

レポート課題、中間テストについては、講義中に簡単な解説と結果に対する講評を行う。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書なし。
参考書解析力学小出昭一郎岩波書店
参考書力学 II(新装版) - 解析力学 -原島 鮮裳華房
参考書- 工科系のための - 解析力学河辺哲次裳華房
参考書力学 (増訂第3 版) ランダウ= リフシッツ理論物理学教程ランダウ・リフシッツ東京図書
教科書
署名
なし。
著者・編者
発行所
参考書
署名
解析力学
著者・編者
小出昭一郎
発行所
岩波書店
参考書
署名
力学 II(新装版) - 解析力学 -
著者・編者
原島 鮮
発行所
裳華房
参考書
署名
- 工科系のための - 解析力学
著者・編者
河辺哲次
発行所
裳華房
参考書
署名
力学 (増訂第3 版) ランダウ= リフシッツ理論物理学教程
著者・編者
ランダウ・リフシッツ
発行所
東京図書