Web Syllabus(講義概要)
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量子化学Ⅱ
英文名 Quantum Chemistry II
科目概要 化学科 3年 3群科目 A選択 2単位 前期 15 コマ 講義 週1コマ 金1限
物理学科 4年 3群科目 B選択 2単位 前期 15 コマ 講義 週1コマ 金1限
科目責任者 水瀬 賢太
担当者 水瀬 賢太※
備考 科目ナンバリング:SC301-CP36
科目ナンバリング:SP301-Ch41

授業の目的

極微の存在である分子の性質は量子力学によって支配されている。本科目は量子化学Iとともに、分子の構造や物性、化学現象を量子力学的に描像を理解するための基礎を習得することを目的としている。具体的には、現実分子系のシュレーディンガー方程式をコンピュータを用いて解く方法論を理解し、実践できるようになるとともに、得られた結果、つまりエネルギーと波動関数を用いて多様な分子の物性や反応性を考察できるようになることを目的とする。

DPとの関連

SG1SG2SP1SP2SC1SC2

教育内容

シュレーディンガー方程式の近似解法としてハートリーフォック法の基本原理を説明し、基底関数の選択や基底集合の概念が計算結果に与える影響を具体例を交えて示す。次にハートリーフォック近似の限界を踏まえ、電子相関を取り扱うための代表的手法(配置間相互作用、摂動展開法、MP法)および密度汎関数理論の基礎を概説する。その上で、実際にクラウド上の計算資源を用いた計算を実行し、分子軌道やエネルギー、熱力学的パラメータや分光特性といった各種物性の求め方を学ぶ。講義には計算化学の演習を含め、計算の実行と、計算で得られりエネルギー、軌道、スペクトルの化学的意味づけを行うことで、理論と実践を結びつける。

教育方法

スライドを主体とした講義、計算方法の実演によって説明を行う。説明内容に即した課題に取り組み、提出とフィードバックを受けることで講義内容を習得していく。

授業内容

項目 内容
1 導入 本講義の目的、概要、および量子力学や量子化学を用いた分子科学研究の紹介を行う。
2 シュレーディンガー方程式の近似解法1 実際に計算資源を活用して分子系のシュレーディンガー方程式を解き、分子軌道やエネルギーの情報を得る体験をする。そのために分子モデリングの方法を学ぶ。
3 シュレーディンガー方程式の近似解法2 シュレーディンガー方程式を解く上での困難と、解法へのアプローチ(ボルンオッペンハイマー近似、LCAO-MO近似、基底関数での展開)について学ぶ。
4 シュレーディンガー方程式の近似解法3 あらゆる量子化学計算理論の基礎となるハートリーフォック理論について学ぶ。
5 シュレーディンガー方程式の近似解法4
高次の摂動論や電子相関理論について学ぶ
6 シュレーディンガー方程式の近似解法5 量子化学計算のもう一つのアプローチである密度汎関数理論について学ぶ。
7 固有エネルギーとポテンシャルエネルギー曲面 ボルンオッペンハイマー近似に基づく電子エネルギーと構造依存性について学び、ポテンシャルエネルギー曲面をもとに結合生成や反応を理解できるようにする。
8 波動関数の利用 波動関数(分子軌道)をもとに双極子モーメントなどの物性や、反応性が予測できることを学ぶ。
9 分子構造最適化 量子化学計算によって分子の安定構造を予測する手法と困難、実験との対応について学ぶ。
10 振動解析1 分子の振動スペクトルの概要と量子化学計算によるスペクトルの予測法について学ぶ。
11 振動解析2 量子化学計算における振動数計算によって、振動スペクトルのみならず熱力学パラメータが求められることを学ぶ。
12 電子励起状態計算 分子系の電子励起状態と光化学の概要、および紫外・可視スペクトルの基礎と、量子化学計算による解析法を学ぶ。
13 物性計算
スピンの関わる物性、NMRスペクトルの予測などについて学ぶ。
14 最先端研究とのつながり 本講義内容と研究の現場で用いられる解析・予測方法の関係性について、量子化学の最先端研究例、データサイエンスやバイオサイエンスとの融合研究例を題材に学ぶ。
15 まとめ 全体の確認と復習
No. 1
項目
導入
内容
本講義の目的、概要、および量子力学や量子化学を用いた分子科学研究の紹介を行う。
No. 2
項目
シュレーディンガー方程式の近似解法1
内容
実際に計算資源を活用して分子系のシュレーディンガー方程式を解き、分子軌道やエネルギーの情報を得る体験をする。そのために分子モデリングの方法を学ぶ。
No. 3
項目
シュレーディンガー方程式の近似解法2
内容
シュレーディンガー方程式を解く上での困難と、解法へのアプローチ(ボルンオッペンハイマー近似、LCAO-MO近似、基底関数での展開)について学ぶ。
No. 4
項目
シュレーディンガー方程式の近似解法3
内容
あらゆる量子化学計算理論の基礎となるハートリーフォック理論について学ぶ。
No. 5
項目
シュレーディンガー方程式の近似解法4
内容
高次の摂動論や電子相関理論について学ぶ
No. 6
項目
シュレーディンガー方程式の近似解法5
内容
量子化学計算のもう一つのアプローチである密度汎関数理論について学ぶ。
No. 7
項目
固有エネルギーとポテンシャルエネルギー曲面
内容
ボルンオッペンハイマー近似に基づく電子エネルギーと構造依存性について学び、ポテンシャルエネルギー曲面をもとに結合生成や反応を理解できるようにする。
No. 8
項目
波動関数の利用
内容
波動関数(分子軌道)をもとに双極子モーメントなどの物性や、反応性が予測できることを学ぶ。
No. 9
項目
分子構造最適化
内容
量子化学計算によって分子の安定構造を予測する手法と困難、実験との対応について学ぶ。
No. 10
項目
振動解析1
内容
分子の振動スペクトルの概要と量子化学計算によるスペクトルの予測法について学ぶ。
No. 11
項目
振動解析2
内容
量子化学計算における振動数計算によって、振動スペクトルのみならず熱力学パラメータが求められることを学ぶ。
No. 12
項目
電子励起状態計算
内容
分子系の電子励起状態と光化学の概要、および紫外・可視スペクトルの基礎と、量子化学計算による解析法を学ぶ。
No. 13
項目
物性計算
内容
スピンの関わる物性、NMRスペクトルの予測などについて学ぶ。
No. 14
項目
最先端研究とのつながり
内容
本講義内容と研究の現場で用いられる解析・予測方法の関係性について、量子化学の最先端研究例、データサイエンスやバイオサイエンスとの融合研究例を題材に学ぶ。
No. 15
項目
まとめ
内容
全体の確認と復習

到達目標

現実分子系のシュレーディンガー方程式をコンピュータを用いて解く方法論を理解し、基本的な分子系について実践できるようになること。そして得られた結果、つまり固有エネルギーと波動関数を用いて多様な分子の物性や反応性を考察する方法を理解すること。

評価基準

講義中に提示する課題・レポート(50%)、および課題に即した期末試験(50%)により評価する。合理的な理由のない欠席や課題の不履行は減点する。

準備学習(予習・復習)

【授業時間外に必要な学習時間:毎週4時間、合計60時間】
予習と復習を兼ねて、指示された課題・レポートに取り組む。

実務経験のある教員情報

文部科学省管轄の研究機関で分子系の量子ダイナミクスに関する研究を行った経験をもとに、実践的な分子運動の記述法や実験データの解析法について解説する。

関連科目

量子化学Ⅰ,基礎物理学,物理化学,有機化学,無機化学,物理化学実験,量子力学I, Ⅱ

その他

本科目の習得には、コンピュータやタブレット端末を利用して実際に計算(のための命令)をすること、そして結果を可視化することが不可欠である。ノートPC(OS不問)を持参し、講義中に計算を試行することを推奨するが、タブレット端末やスマートフォンでも十分対応可能である。計算環境の準備や講義の進め方の詳細は初回講義にて説明する。講義内容に関する不明点はオフィスアワーや次回講義での質問時間を活用して解決すること。課題への講評・フィードバックは次回講義またはClassroomで行う。

教材

種別 書名 著者・編者 発行所
教科書 なし
参考書 マッカーリ・サイモン 物理化学 マッカーリ、サイモン 著 東京化学同人
参考書 入門分子軌道法 藤永 茂 講談社
参考書 有機化学のための量子化学計算入門 西長亨・本田康 裳華房
参考書 実験化学講座 第5版(12) 計算化学 日本化学会 丸善出版
参考書 アトキンス 物理化学 アトキンス 東京化学同人
教科書
書名
なし
著者・編者
発行所
参考書
書名
マッカーリ・サイモン 物理化学
著者・編者
マッカーリ、サイモン 著
発行所
東京化学同人
参考書
書名
入門分子軌道法
著者・編者
藤永 茂
発行所
講談社
参考書
書名
有機化学のための量子化学計算入門
著者・編者
西長亨・本田康
発行所
裳華房
参考書
書名
実験化学講座 第5版(12) 計算化学
著者・編者
日本化学会
発行所
丸善出版
参考書
書名
アトキンス 物理化学
著者・編者
アトキンス
発行所
東京化学同人