
| 英文名 | Quantum Chemistry II | |
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| 科目概要 | 化学科 2年 3群科目 必修 2単位 後期 15 コマ 講義 週1コマ 金1限 |
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| 科目責任者 | 水瀬 賢太 | |
| 担当者 | 水瀬 賢太※ | |
| 備考 | 科目ナンバリング:SC301-CP26 |
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極微の存在である分子の性質は量子力学によって支配されている。本科目は量子化学Iで学んだ原子軌道の考え方をもとに、化学結合がいかに形成されて分子が成立しているか学ぶことを最大の目的としている。具体的には、基本的な分子に対する原子軌道をもとにした分子軌道ダイアグラムの作成法、および一般の分子に対するシュレーディンガー方程式の近似解法を学び、原理を理解して実践できるようになるとともに、得られた結果、つまりエネルギーと波動関数を用いて多様な分子の物性や反応性を考察できるようになることを目的とする。
一般に化学結合論または分子軌道法と呼ばれる項目を扱う。原子軌道をもとにした分子軌道法の基本概念から出発し、簡単な分子に対する分子軌道構築法と、軌道をもとにした構造や反応性、物性の予測法を扱う。また、分子軌道法を一般の分子に応用するため、コンピュータの利用を前提とした手法の原理と実行手順を学び、実際に応用を行う。代表的な量子化学手法(ハートリーフォック法、密度汎関数理論、簡単な電子相関手法)を扱い、広く用いられている量子化学計算ソフトを用いたワークフローを実践し、計算結果の可視化、化学的意味づけについて議論する。
スライドを主体とした講義、計算方法の実演によって説明を行う。内容習得のための課題を課す。
| 回 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 導入 | 本講義の目的、概要を説明するとともに、物質科学における量子化学の重要性について研究例を挙げて説明する。また、原子の量子力学的扱いについて確認する。 |
| 2 | 二原子分子の化学結合論1 | 最も簡単な分子である水素分子イオンを対象に、量子力学的な化学結合の扱い方を学ぶ。その中で、LCAO-MO近似、重なり積分とは何かを学ぶ。 |
| 3 | 二原子分子の化学結合論2 | 水素分子の量子化学的な扱い方を学ぶ。結合性軌道・反結合性軌道、一重項、三重項の考え方を学ぶ。 |
| 4 | 二原子分子の化学結合論3 | 第二周期元素を含む二原子分子の化学結合について学ぶ。軌道形状の概形、電子配置を理解するとともに、結合の強さや磁性との関係、異核二原子分子の極性との関係について説明できるようにする。 |
| 5 | 多原子分子の化学結合論1 | 基本的な三原子分子について分子軌道の構築方法を学び、化学結合論に基づく分子構造の考察を行う。 |
| 6 | 多原子分子の化学結合論2 | 多くの分子系に含まれるπ共役系や芳香環の結合論について、π電子近似やヒュッケル法を用いてその特徴を理解する。 |
| 7 | 様々な結合の量子論 | 配位結合、3中心結合、水素結合といった特殊な相互作用の扱い方を学ぶ。 |
| 8 | 分子軌道と化学反応性 | 分子軌道の形状やHOMOとLUMOの軌道エネルギーに基づいて分子の安定性や反応性を議論する方法を学ぶ。 |
| 9 | シュレーディンガー方程式の近似解法1 | 一般の多原子分子に対する分子軌道を求めるうえでの困難と、解法へのアプローチ(ボルンオッペンハイマー近似、平均場近似)を学ぶ。 |
| 10 | シュレーディンガー方程式の近似解法2 | あらゆる量子化学計算の基礎となるハートリーフォック法について学ぶ。 |
| 11 | シュレーディンガー方程式の近似解法3 | 量子化学計算における高次の摂動論や電子相関の取り入れ方、密度汎関数法の考え方を学ぶ。 |
| 12 | 量子化学計算の基礎1 | 実際に計算資源を活用して分子系のシュレーディンガー方程式を解き、分子軌道やエネルギーを求める体験をする。そのために分子モデリングの基礎を学ぶ。 |
| 13 | 量子化学計算の基礎2 |
量子化学計算で得られる波動関数とエネルギー、およびその構造依存性をもとに、ポテンシャルエネルギー曲面が構築されることを学び、分子構造と反応性の理解を深める。 |
| 14 | 量子化学計算の基礎3 | 量子化学計算を用いてスペクトルなどの各種物性が予測できることを学ぶ。 |
| 15 | まとめ | 全体の確認と復習 |
分子の形成や変換に直接関わる「化学結合」について、その実態である電子の量子力学的振る舞い(分子軌道)をもとに記述できるようになること。また、分子軌道と軌道エネルギーに基づいて基本的な分子の構造や物性を説明できるようになること。
講義中に提示する課題・レポート(30%)、および課題に即した期末試験(70%)により評価する。合理的な理由のない欠席や課題の不履行は減点する。
【授業時間外に必要な学習時間:毎週4時間、合計60時間】
予習と復習を兼ねて、指示された課題・レポートに取り組むこと。
文部科学省管轄の研究機関で分子系の量子ダイナミクスに関する研究を行った経験をもとに、実践的な量子状態の記述法やデータの解析法について解説する。
量子化学Ⅰ,物理化学実験,物理化学,有機化学,無機化学,量子力学I, Ⅱ他
講義内容に関する不明点はオフィスアワーや講義時の質問時間、メール相談等を活用して解決すること。課題への講評・フィードバックは講義またはClassroomにて行う。項目ごとの参考書や計算環境の準備については講義時に説明する。
| 種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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| 教科書 | なし | ||
| 参考書 | マッカーリ・サイモン 物理化学(上) | マッカーリ、サイモン | 東京化学同人 |
| 参考書 | 量子化学 | 大野公一 | 岩波出版 |
| 参考書 | 量子化学 基礎からのアプローチ | 真船文隆 | 化学同人 |
| 参考書 | アトキンス 物理化学 | P.Atkins・J.dePaula 著 中野元裕 他 訳 |
東京化学同人 |